探偵の調査についての裏話をお聞かせしましょう。その1

長年探偵をしているといろいろなことを経験する。 くだらない事も多いかもしれないがいくつかお話をしましょう。

ラブホテル前での攻防

ある浮気調査で対象者を尾行していくと浮気相手と接触し合流、そして都内の繁華街の一角にあるラブホテルに入ったのである。 当然、浮気相手と入る瞬間の写真を撮影した後には出てくるまで張り込まなければならない。 入る写真と出てくる写真を押さえ、何時間、そのラブホテルで過ごしたかが浮気の証拠として重要となってくるからなのである。 それこそ対象者と浮気相手が宿泊すれば長時間、待ち続けなくてはならないのである。

さあ、どこで張り込もうかと良い位置を探していると既に別の探偵が張り込んでいたのである。 たぶん、同じ浮気調査の依頼で対象カップルが入ったために張り込んでいたのであろう。 多分、こちらの存在にはすでに気付いているはずである。

当然、先に張り込んでいた別探偵の張り込んでいる位置は撮影するポイントとしてはベストポジションである。 「どいてくれ」とは言えず、近くの位置でお互いに意識をしながら張り込んだ経験がある。 正直、やりづらいと言ったらこの上ない。 過去、このような経験は1度や2度ではない。 時にはお互いに探偵という身分を明かし、協力し合って張り込んだ経験もなくはないがなかなか初対面同士、身分を明かさず牽制し合ってしまう場合も多い。 何しろ探偵という職業、一癖も二癖もある人間が多いのである。 自分の業務に邪魔になると判断すると回避したり拒絶する傾向は人より強いのかもしれない。 この時は先に別カップルが出てきてくれ、別探偵はそのまま追跡してくれたのでその後ベストポジションで張り込むことができたのであるがこううまくいくとは 限らない。 当然、私たちが張り込んでいる場所に後から別の探偵が来たなんてこともある。 どうしたかって、まっ張り込む場所によっても違いますが想像にお任せします。

聞き込み調査で頭真っ白

探偵という職業に就いてまだ2年も経っていない時だったと記憶している。

結婚調査の依頼が入り、ある田舎の実家周辺において対象者を含め両親や兄弟などについての聞き込みをしていた。 2年も経っていないために今から思えば素人に毛の生えた程度だったと思う。 それでも聞き込みの仕方も少しずつ出来るようになった頃で聞き込みの大変さとおもしろさも少し分かり始めてきたとさえ思ってきた頃だったと記憶している。 こういった聞き込みの際には同姓の家を避けて聞き込みをするのは基本である。 親戚筋の家かもしれないので聞き込みからなにかしら調査に来た事が発覚するのを出来るだけ押さえる為である。 しかし、田舎の集落などでは住人の殆どが同姓というケースもあり、特別な聞き込みをしなければならないのであるが通常はなるべく避けるのが基本である。 更に基本的なことは対象住宅を中心に遠いところから順次内側へと聞き込みをしていくのが常套手段である。 そんな感じで聞き込みを開始した処、ある一軒家を訪問する。 すると家人の60歳後半の女性が玄関口に出てきてくれて応対してくれた。 「ちょっとお尋ねしたいのですが○○○○さんという家をご存じではないでしょうか」と対象者の父親の名前を出して聞いてみる。 少し離れていても親しければ簡単に教えてくれるはずである。 すると「ここから歩いて4,5分くらいだけど」と前置きした後、「今、そこの奥さんが家に遊びに来ているのよ」との返事。 そして「○○さ~ん、あなたにお客様」と大声で奥に声をかけ、多分、母親だろう人物を呼んでしまった。

予想もしなかった突然の応対に頭真っ白状態。 経験の浅かった私には咄嗟の対応はまったく出来ず、しどろもどろ。 母親らしき人が出てくる前にその場から逃げ出すしかないと考えたのかもしれないが、身体が自然に動き出し、その場からいっきに逃走してしまっていたのである。 完全に怪しい人物である。

当然、帰社してから正直にそのことを伝えると上司や諸先輩から叱られること、叱られること。 でも本当にあの瞬間は頭の中が真っ白になってしまっていたのである。 似たようなケースはまだある。 対象者の家の近所の商店で聞き込みをしていると対象者の家族が買い物に来ていたことも。 その場は適当にごまかせたものの冷や汗たらたらものであったのは言うまでもない。

それからはこういった事もあると自分に言い聞かせ、ある程度、想定した対応も考えて聞き込みをしている。